LIFE

良いことは思い出していい

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過去に浸らず今を生きようだとか、思い出は消えないという主張がある。けれども、ひとは置かれた環境が変われば脳内のストラテジがいっぱいになって、全自動で過去のことは忘れると思う。もちろん忘れて良いことがほとんどだけれど、たまに思い出して幸せな気分になるのはわるくないのかもしれない。

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楽しかったことや共に苦労をした人たちからもらった手紙を含むメッセージは、お金では手に入らない価値があると思うようになった。思い出に浸る余裕もないほど目まぐるしく過ごしたこともあったけれど、ふと、良い思い出ならば大切にしまっておいて良いと考えるようになってきた。散歩の中で感じる風が冷たくなってきて、すこし感傷的になっているからかもしれない。

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わたしが中学3年生のときにもらった手紙にこんなことが書いてあった。

いまのバンドにとって、ケガをして動けない人がいても、上手にプレーできない人がいても、そんなことは関係なく一人ひとりが大事なメンバーです。いつまでも暗い気持ちを引きずっていないで、しっかりと練習に集中しているAIの姿を見せて下さい。そして少しでもバンドの力となって活動を支えてほしいと思います。早く気持ちを入れかえないと、今の足の状態は克服できないはずです。これを乗り越えたときに、一皮むけたAIを見れることを期待しています。

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そして、コンテストのシーズンが終わり高校受験が終わったタイミングで受け取った手紙にはこうあった。

1年間本当にお疲れ様でした。そして、高校入学おめでとう。受験が終わって何年も経っているから言えることかもしれないけど、どの高校に入るかというよりも、高校で何をするのかの方が大事なのではないかと思います。そして、受験生にもかかわらず、バンドを続けることを覚悟し、1年間やり抜いたことそのものに大きな大きな意味があるはずです。今年は高校生になったAIが、謙虚さと情熱を忘れず、さらにBrassの支えとなってくれることを期待しています。

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この2枚の手紙は同一人物から頂いたもので、当時はまっすぐにメッセージを受け止めきれなかった。ケガをして迷惑をかけていることやイメージ通りに動けない自分への苛立ちもあったし、受験に失敗して、頭のいい人には出来のわるいひとの気持ちなんて分からないよと卑屈になったりもした。思春期は今戻ってもうまく過ごせないと思う。

けれども、わざわざ言葉を贈ってくれたということは、時間を割いてくれたのだと気づく。そして、活動を見守ってもらえていたのだということもわかる。とにかく自分のなかの葛藤と戦うことばかりな中学時代だったけれど、器の広い大人に囲まれて育ったのかもしれない。いつかそんな懐の深いひとになっていけたらと思ったけれど、まだまだ先は長そうだ。

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