Essay

冬で思い出すこと

01

冬になると朝は起きにくくなる。それは自分だけではないのだろうけれど、寒いから起きたくないのだと認識したのは、つい最近な気もする。あまり季節によって体調が変わりやすいという傾向に気づいていなかった。だから中学生のときは年の3分の1くらいは遅刻をしていた。不登校ではなくて、自宅を行き来するくらいの友達もクラスにいたりした。けれどもどうも朝は学校に間に合わなかった。

02

毎朝学校の玄関で靴を履き変えようとすると、朝礼の時間を過ぎているにもかかわらず担任か学年主任が立っていて、’AI,おはよう’とだけ言ってくる。思春期特有のウザがり方かもしれないけれど、タメ口をきくでもなく小声でむにゃむにゃと返したりしていた。玄関に担任たちさえいなければ、1時間目が始まったくらいにしれっとクラスに紛れ込めると思っていたけれど、今となれば大した差ではないようにも思う。遅刻魔なりに遅れることへの罪悪感はあって、でもどう工夫しても整わない生活リズムにはまっていた。

03

けれども、高校に入学してからは交通の事情で1回遅れただけで、3年間まともに通った。学校の雰囲気が合っていたのもあるだろうし、高校に入ってからは授業を受けていても課題が難しく感じるものだったから、行かないとついていけないという気持ちもあったかもしれない。学園祭やら合宿コンクールは張り切って参加したりして、ひねくれずに素直でいられた。

04

大人になってバックボーンの違う人と会うたびに自分の普通なんて概念はどこかへ吹き飛んでしまう。それはまあ、なんでもいいか、という感覚にいきつくのだけれど、なぜかもっと違うもの違うもの、と外により良いものがないかと探してしまう癖は抜けない。