Essay

落ち葉とカフェとクッキーバニラ

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今日は朝から少し冷え込んで、手袋をして散歩に出た。風がつめたくて顔がこわばるけれど、すがすがしい空気はわるくない。その後プロテインをチャージしてリングフィットアドベンチャーで筋トレすれば、いつもの朝の始まりだ。

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久しぶりに借りた車で紅葉を見に行った。カフェ&レストランで鮮やかな彩りの野菜ランチプレートを頼み、テラス席で食事するには絶好の天気だった。自宅での食事は写真こそ撮らないくらい地味なものなので、たまには目に栄養を与えるのもいい。

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友人の案内で観光地を散策したとき、こんな話になった。「20代まで自然の良さが分からなかったのに、いまは木々や川の流れをみていると癒やされるようになった」。中高生のときは自分の親世代が、なにかと理由をつけて温泉に入りたがる理由が分からなかった。20代でクラブなり飲み会なりで遊ぶことを覚えると、こんなに刺激的なひとに出会えるのに、なぜしんとした景勝地に行こうとするのだろうと思っていた。

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けれども、そういう遊び方には飽きがくる。ギラギラしたライトもやけに上げたテンションにもエネルギーが吸い取られるような感覚になってくる。こんなにも早く自分の気持ちが落ち着いてきたことは驚きだ。きっと子育て中の彼女は、落ち着きというよりも24時間ほぼ休憩なしの母親という仕事で、充電する時間が全く取れていないのかもしれない。観光地からすこし離れたスーパーで晩ごはん用のお弁当を買うというのでついていくと、ちょっとの間だけ子をみててほしいと頼まれた。そう広くはないお店だったので、なんの違和感もなく数分の間、子と2人でお菓子コーナーを眺めていたのだけれど、帰り際に「面倒見てくれて本当に助かる」と言われた。

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大したことはしていないのだけれど、ほんの少しのあいだでも子から目を離して注意を他に向ける時間が持てることは、母親になった彼女にとって貴重なものになったのだと思った。年齢について思うことも、仕事のキャリアや思い出話もしたような気がするけれど、それらすべてがどうでもいいくらい冷たい風が、落ち葉をさらっていた。なあんて、かっこつけた表現で締めようとしているけれど、結局のところたのしい1日だった、というただそれだけのことだった。

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