Essay

IKEAのベッドを解体・回収してもらった

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社会人になって1年目のときに、初めて自分でベッドを選んで購入した。もう10年くらい前のことだけれど、当時にしては高額な買い物だったのでよく覚えている。大塚家具の展示も見て回り、ニトリの安価な簡易ベッドも試してみたけれど、ワンルームには大きすぎたり、骨組みが軟弱で寝返りのたびにきしむ音が気になったりして、結局10万円を予算にIKEAで買うことにしたのだった。

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いちにちのなかで睡眠は多くの時間を割くのだから、ケチってはいけないというのをたくさんの方からアドバイス頂いたので、お金は出し惜しみしないことにしていた。一人暮らしが3年目くらいまではお洒落なインテリアの部屋にしたいだとか、見ていて楽しくなるコスメエリアをつくりたいだとか夢いっぱいだった。けれども、仕事が終わってすぐに倒れ込むのは寝室だから、セミダブルのマットレスとベッドを買った。少々圧迫感のある部屋ではあったけれど、ほとんど寝るだけだから納得して買った。デザインは真っ白の塗装でシンプルなものだった。だから気に入っていた。

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だけれども、IKEAのベッドは自分で組み立てるスタイルだ。引っ越しでは運んでもらえない。詳しく言うと、解体してパーツにした状態ならば運んでもらえることもある。それが購入金額を抑えられる要因でもある。つまり、IKEAは骨組みの素材を売っていて組み立てる工賃はかからない。DIYなどがすきなひとは楽しめる。わたしも当時は楽しく思っていた。ただ、いままで4回ほど引っ越しをしたけれど、つど必要になるベッドの解体と組み立てが億劫だった。

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引っ越しという環境の変化は回数を重ねるほどに慣れては行くけれど、無意識のうちに自分はダメージを受けているものだ。土地勘のない場所での生活は想像しているよりもストレスがかかる。具合が悪くなって病院を探すことさえもエネルギーを使ったりもする。そんな引っ越しですこしでも快適に新生活をはじめるには荷物の取り扱いは重要だと思う。

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高額な買い物をしたという記憶と紐付いたマットレスらを捨てるには、心理的な負担もあったので、1年くらい放置していた。けれども、昨日あたりに突如処分したくなったので、踏み切った。サンクコストといって、過去に支払ったマットレスセットの10万円はもう回収できないものであるのに、なかなか処分に踏み切れないことはよくあるらしい。でも、5年以上も使ったのだし、買い替え時なのかもしれないとも思えるようになった。モノを手放すには気持ちが大きく関わるけれど、ひとつひとつ手放しでアップデートしていきたいと思っている。

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