Essay

キャンプから帰ってきた

00

タープの内側にライトや炭火で部屋のようにしていたのだけれど、炭火が消えそうになってきたので、テントで休むことにした。ほろ酔いのアールグレイとビール1缶の半分くらいで充分に満足だった。お酒がなくても落ち着いて話せる関係性は貴重な気がした。

01

いつ日付が変わったかわからない、というよりもむしろ気にならないほどに穏やかな時間だった。自然の中にいると月が出ていれば夜だろうとも思うし、太陽が出てきて草木に霜がついていたら朝だなあと思う。ひさしく時計を見ない生活をしてなかったことに気づく。テント内に準備した寝袋はマイナス5℃まで耐えられる素材らしいけれど、やっぱり寒かったのでホッカイロを2個いれて横になった。頭も腕もすっぽりとくるまると暖かいみたいだけれど、なんか落ち着かなくてテント泊できるひとはすごいと思った。

02

朝起きると、もうとなりのキャンパーたちは片付けを終えて車を走らせていった。自然の中で迎える朝はとてつもなく寒かったけれど、清々しい空気は気分がクリアになった。いつもバスが遅れてきたり渋滞があったり、赤信号が早く変わらないかとせかせかしているのが馬鹿げているようにも感じた。キャンプをすると、そんなに急がなくてもいいのにな、という心の余裕が生まれる気がする。

03

コーヒーを挽いたのだけれど、一杯目にいれたマグが前日のモツ鍋の油と混ざってしまって飲めなかったことに笑った。共洗いが不足していたみたいで、洗浄不足だなんて話した。一般的には「すすぐ」とか「ゆすぐ」とか「リンスする」とかいうのだろうけれど、「共洗いが足りなかった」と言った友人は仕事にどっぷりなのだなと感じて笑った。本人はナチュラルに言ったので仕事で使う言葉という認識がなかったみたいだ。朝ごはんにベーコンと卵焼きをパンにのせて食べたのが、量が多かったけれど美味しかった。プロテイン以外の朝ごはんは久しぶりだった。タープについた露をバシバシとたたいて落としたり、椅子についた土を落としながら、もうキャンプが終わりなのだと思った。楽しいことは時間が短くなる。

04

帰宅のため最寄り駅まで送ってもらう途中でセブンイレブンのホットコーヒーを飲んだ。朝に挽いたコーヒーが物足りなかったのかな?とも思ったけれど聞かなかった。セブンイレブンのコーヒーマシンにはタッチパネル型とボタン型があって、わたしがタッチパネル型を選ぶと友人は驚いたリアクションをしていた。ホットコーヒーが挽けるのはボタン型だけだと思っていたのかもしれない。最寄り駅の近くに紅葉が有名なスポットがあったので、ついでに寄ってくれた。お土産屋さんで和柄のかんざしや風呂敷をみてかわいいねだとか、誰それに似合いそうだという共通の知人の話を懐かしんだりした。たいやきのマグネットが真ん中にあんこまでデザインされていておもしろかったけれど、なぜこの地でたいやき?と思った。観光地は日本ぽければなんでもありだ。

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