LIFE

重曹と黒豆のはなし

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SHARPのホットクックを導入してから、毎日の献立決めが楽しい。カレーが続いても具だくさん味噌汁とポトフが続いても、結局のところ美味しければ飽きないのだとも気づいた。ただ、もう少しメニューの幅を広げたくなって、ある日突然、黒豆を煮ることにした。かつて一人暮らしを始めたばかりの学生の頃に、祖母が豆は体にいいからたくさん食べるといいとよく言っていたことから小豆を煮ることに挑戦したことがあった。結果は失敗に終わった。前日から水とですこし戻しておかなければならないことをまず知らなかったし、当時ガス火でしかも小鍋でコトコト煮るということは目が離せないので6時間くらい拘束された記憶がある。

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そこまで小豆に愛情はなかったことと、砂糖を先に入れてしまったので水分が豆に浸透しないことで、食べられる代物ではなくなってしまった。そんな苦い経験から10年くらい経ってやっと豆料理に再び興味が湧いてきたのは、調理家電の導入があったからだった。煮ている間は自動で火力調整をしてくれるわけで、前日に仕込みが必要なことも経験から知っていた。だから今度こそはうまくやれる気がして挑戦した。結果、味も硬さも美味しく完璧だった。ただ、乾燥状態で250gだった黒豆は膨らんで丼一杯分ほどになり大量生産しすぎた感じはある。総合点としては80点くらいの出来だと思うので、また家事能力が上がった気がする。

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この黒豆に限らず乾燥状態の豆類の調理には、重曹が必要になる。この黒豆がきっかけで重曹をドラッグストアで買ったことから多方面に応用できることが分かって、更に興味が湧いてきている。まずスタンダードなこととしてはコーヒーのマグカップの茶渋が取れる。他にはシンク周りの清掃にも使い道はたくさんあるらしい。そして、ホットクックの内釜のこびりつき汚れにも良いらしく、いろいろと試してみたくなってきた。

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20代のころは”ていねいな暮らし”のようなライフスタイル本を読んで、憧れつつも見渡した限りメンテナンスに手の回っていない自分の部屋と比較して心折れたりもした。けれども、ようやく自分にできる範囲が分かってきた。また、嫌な排水溝の掃除を避けるためにはこまめにゴミ取りをしたほうが良いなど、こまかい知恵もついてきた。だから、そろそろ丁寧な暮らしもただの憧れではなく実現可能な範疇に来たのではないかとも思っている。

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お昼のテレビ番組やESSE・オレンジページのようなライフスタイル雑誌を見るとカリスマ主婦と呼ばれるような人が登場して自分と比べてしまうこともあったけれど、そういう家事が心からすきなひともいるのだなあと広く捉えられるようになってきた。家の中は自分とその家族がある程度清潔に気分よくいられればそれでいいのだから。さて、明日は重曹を何に活かそうか。