Essay

「お金の向こうに人がいる」を読んだ

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難解なことばはほとんどなくて、すらすらと読めたけれど、問いかけに対しては頭をつかう。そんな本だった。一体どういうことなのだろう?と考えながら読み進めるので、読み終わったあとももう一度繰り返してみようと感じた。

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ちょうど友人とお金には実態がない、という話になった翌日にBookstoreでおすすめされたので、買ってみることにした。こんな一節がある。

大事なのは、元の価格ではないのに。その商品によって自分の生活がどれだけ豊かになるか、なのに。

お金の向こうに人がいる/田内学

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たとえば、「この楽器は25万円で買ったものだ、だから25万円の価値がある。」と言っても、ミュージシャンや音楽好きなら同じように価値を見出すかもしれないけれど、興味のない人にとっては、ただの金属の塊だったりする。そのモノを手に入れたときの満足度が、価値である。では、お金ってなあに?と子供に聞かれたら、説明するのにしどろもどろになってしまうようにも思う。常に身近にありながら、説明のつかないような存在。世界の多くのひとが価値があると信じているから、それが円の価値になったりするのだけれど、じゃあ円で交換できることはモノやサービスがあって。それらは日本円の生活圏内のひともいれば、米ドル生活圏のひともいて。考えはじめるとなかなかひとことでは難しくも思う。

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ほかに、お金にまつわるものでこんな話がある。

AさんがBさんに1万円借りた。BさんがCさんに1万円借りた。CさんがDさんに1万円借りた。DさんがAさんに1万円借りた。そんな状況でもしも全員がお金を借りたことを忘れてしまったとしたら?お金は存在するのだろうか?

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わかろうとするほどにどんどんと分からなくなることは、よくある。それはなにも自分だけに限ったことではないので、安心してもいいようだ。

社会学者のデイヴィッド・ダニングとジャスティンクルーガーが考え出した「ダニング=クルーガー効果」によると、人間の自信レベルは、知識レベルによってUカーブを描くといいます。

世界のお金持ちが実践するお金の増やし方/高橋ダン&向山勇 かんき出版

こうやって他の分野の本の知識が繋がる瞬間がなんとも快感で、読書のおもしろさの一つだとも思う。

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