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‘無料より安いものもある お金の行動経済学’を読んでいる。文章を読むとなるほど、と思う。けれども自分が買い物してきた諸々を振り返ると、明らかに非合理的な判断をしていたことがわかった。最も印象に残ったのは、心の会計を我々は常日頃からしている、ということだった。賢い買い物をしているようでいて、冷徹な視点で考えるとちっとも合理的ではないにもかかわらず、自分で選んだことに満足し、納得し、代金を支払う。
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また、相対的な価格についての記載も記憶に残った。たとえば、あるキャベツを100円で買うのと200円で買うのならばほとんどの人は100円で買うことを選ぶ。それなのに、不動産や車など桁の違う買い物をするとなると、3400万円も3380万円もほとんど同じように感じてしまう。落ち着いて考えれば住宅の購入価格の差額20万円も、道端で拾った財布の中身が20万円だった場合も同じ価値だ。
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お金に色はないという主張がある。紙幣は紙幣でしかない。1ドルはほかのどの1ドルとも交換可能だ、というフレーズがこの本にあった。その一方で、拾った20万円はなぜか1ヶ月働いたサラリーとして得た20万円とは違う感じがしてしまう。
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人は自己認識よりも賢くないらしい。つまり、無意識領域で判断して行動していることが日々の大半で、しかもそれらの行動の2割ほどは失敗するという。だから、YouTubeで動画を再生する前の5-10秒程度の広告や、ブログ記事を読む時にひとつひとつ閉じるボタンを押さなくてはならない広告の情報も、わたしたちの無意識領域にどんどんとストックされていくようだ。だから、そのような広告は表示されない有料モードにするのが良い、と主張するひともいる。
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わたしが10代の頃に読んだ本の中で、いまだに忘れられないインパクトのある言葉がある。それは、’人が変わるには、戦争に行くか独房に入って沈思黙考するしかない’という言葉だ。日本でベストセラーになるビジネス書では、住む場所を変える・付き合う人を変える・時間配分を変えるなどと書いてあることが多いのは、それが現実的だからなのだろう。いずれにせよ、常に変化していく環境のなかで、自分も変わっていくことが自然なことだと思う。けれども、変えようと意識したことは大概が非合理的らしいと思うと、さてどうしようか?とループにはまる。