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活字を追うことの効用

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晴れの日の空気感に春を感じるようになった。風は冷たいながらも日差しの振り方が強くなりつつあり、冬はそろそろ去っていくような気配がある。そんな日は何の用もなくとも身支度をしてとりあえず外に出る。快晴の日の空気を味わないのはもったいないことに感じるからだ。

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朝起きてから夜寝るまで、ひたすら本を読んでいる。もっぱら電子書籍のKindleやiBooksで専用端末を購入するか迷うほどに貪り読んでいる。行動経済学、株式投資や金融、ライフハック、中国の動向、日本近代史、人生論、家計管理など知りたいことが多すぎる。もちろん読んだだけで知り得ることは微々たるものなのだろうけれど、止まらない。

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よく、本を読むのは良いだとか勉強になるだとか言われることがある。趣味が読書だとか言っておけば、印象はあまり悪くはならない。けれども、わたしにとっては本を読むことは勉強でも何でもない。ただの娯楽のうちのひとつで、たとえばBTSや乃木坂46のライブ映像を観てウキウキしている感覚に等しい。

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それは時として瞑想に近い状態をつくってくれる。本が提供するテーマが、いま自分が置かれている現実から意識を逸らしてくれるからだ。本の内容を理解したり消化しようとするのではなく、ただ活字を追うという作業を行うことによりそれらができる。現実と向き合おうだとか逃げてはいけないだとか、よその人は好きなように吹き込んでくるかもしれないけれど、そんなものは本人のタイミングなのだからとやかく言うことでもない。

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ベストセラーのビジネス書には、この本を読んで実践してこそ価値があるだとか、行動こそが真実だとか小難しいことが書いてある。けれども、読んで取り込んだ情報が、自分にとってベストなタイミングで活かされるのがいつなのかは、読めない。あるテーマについて複数冊読んでみると必ず対立意見や折衷案が入り乱れていると分かるので、片っ端から実践していくとスタミナ切れとなるのは目に見えている。わかっていながら、もがく時期があってこその今の見識なのかもしれないけれど、焦って良いことは何もない。とは思いつつ、何か昨日と違うことをしなければならないのではないか?という葛藤に揺れている。